世界を見据えた前哨戦 勝利の舞台は有明コロシアム
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2025年6月8日、東京・有明コロシアムで開催された「Prime Video Boxing 13」のメインイベントで、那須川天心選手(26歳・帝拳)が世界への大きな一歩を刻みました。対戦相手はWBA世界バンタム級6位のビクトル・サンティリャン選手(29歳・ドミニカ共和国)。世界初挑戦を控える前哨戦として注目されたこの一戦で、那須川選手は判定3-0(99-91、99-91、100-90)の完勝を収め、プロボクシングでの戦績を7戦7勝(2KO)としました。
試合序盤 主導権を握った那須川の正確無比な攻防
出典:スポニチ リンク
ゴングが鳴るとすぐに那須川選手は、俊敏なステップと鋭い右ジャブを軸に試合の主導権を握ります。距離感を完璧にコントロールしながら、無駄のないパンチで確実にポイントを重ねていきました。観客からはその動きに対する歓声が止まず、1〜3ラウンドにかけては明らかに那須川選手のペース。サンティリャン選手に有効打を許す場面も少なく、理想的な立ち上がりを見せました。
中盤の展開と意地の応酬 那須川の冷静な対応力
4ラウンド目にバッティングで左まぶた付近から出血するアクシデントがありましたが、那須川選手は冷静に対処。動じることなくペースを維持し、むしろ落ち着きと集中力をさらに高めていきます。5回にはボディへの連打や上下の打ち分けが冴え、サンティリャン選手の動きを止める場面も。6回には代名詞ともいえるジャンピング左アッパーを炸裂させ、観客のボルテージは最高潮に達しました。
セコンドの叱咤と後半の勝負所に見せた意地
7回終了後、セコンドから「世界は絶対に無理だからな。練習の半分も出てないぞ!」という厳しい叱咤が飛びました。この一言が那須川選手に火をつけ、8回以降も冷静に、しかし攻撃的に戦い続けました。相手の動きを読み切り、的確なカウンターとコンビネーションを積み重ねていきます。終始、試合の流れを渡さず、10ラウンドすべてを通じて優位を保ったまま試合終了を迎えました。
試合後の自己評価と成長への意欲
出典:Yahoo!ニュース リンク
勝利直後のリングインタビューでは、「もっと詰め切る力、倒し切る精度が必要」と自らの課題を率直に語りました。完勝という結果に満足せず、自身の技術向上と精神的成長を見つめる姿勢に、観客や関係者も深い感銘を受けました。「神童」と称されながらも、その名に甘んじることなくさらなる高みを目指す姿が、試合後のコメントに滲んでいました。
ファンへの感謝と次なる挑戦への決意
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試合後、マイクを握った那須川選手は、会場を埋め尽くしたファンに向けて「まだチャンピオンでもない自分に、これだけ多くの応援をいただいて本当に幸せです」と感謝の言葉を述べました。「これから那須川天心という生き方を見せていきたい。何があっても負けません」と語りかけるその姿に、観客の多くが胸を打たれました。
緻密な準備とスパーリングの成果
今回の勝利の裏には、計算された準備と質の高いトレーニングがありました。初のサウスポーとの対戦を想定し、メキシコから2名のスパーリングパートナーを招聘。さらに、井上尚弥選手の練習相手を務めたエリック・ロブレス・アヤラ選手(25歳)や、WBOアジア・パシフィック・フェザー級王者の藤田健児選手(31歳)とのスパーリングを重ね、実戦さながらの練習を積み重ねてきました。
無敗街道を突き進む 那須川天心の戦績
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今回の試合を終えて、那須川選手のプロ戦績は7戦7勝(2KO)。キックボクシング時代を含めると、驚異の54戦無敗という記録を維持しています。プロボクシング転向後も、その実力と存在感は衰えることなく、いよいよ次なる舞台は世界戦。2025年11月に予定されている世界タイトルマッチへの機運が、一層高まる結果となりました。
試合の持つ意義と日本ボクシング界への影響
この勝利は、那須川選手個人の成長だけでなく、日本ボクシング界全体にとっても象徴的な一戦でした。
- 世界前哨戦を無傷で突破
- 初のサウスポーに対する明確な対応力
- 技術派相手に10ラウンドを完遂するスタミナ
- 世界ランカーに対する経験値の蓄積
さらに、同日には中谷潤人選手が西田凌佑選手に6回TKO勝利を収め、2団体統一王者となる快挙を達成。日本人選手が世界バンタム級で次々と結果を出す中、那須川選手の存在感がより一層際立つ一日となりました。
まとめ 世界挑戦へ向けた那須川天心の現在地
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那須川天心選手の今回の試合結果は、単なる7連勝という数字では語りきれない価値があります。自らの課題を認識しながらも勝利をつかみ、ファンや関係者の期待に応えるその姿はまさに一流の証。2025年11月、世界王座への挑戦が目前に迫る中、次なる試合で彼がどのような成長を見せてくれるのか、大きな期待が寄せられています。
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